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ベルリオーズ:「テ・デウム」

ベルリオーズ:「テ・デウム」8月19日から始まった今年のフェスティヴァル・ベルリオーズもいよいよ大詰めで、明日の公演を残すのみとなりました。フェスティヴァル最後を飾るプログラムは、このフェスティヴァルに相応しくやはりベルリオーズの作品で、「テ・デウム」です。昨日迄でリヨンでのリハーサルを終えて、今日は朝からラ・コート・サンタンドレまで行って来ました。
「テ・デウム」は、ベルリオーズが作曲した宗教音楽の中では、「レクイエム」に次いで有名な曲で、元々は全8曲からなる曲です。ところが第3曲「プレリュード」は、既に初演の際にベルリオーズの手によって削除され、また、この第3曲同様にオーケストラのみで演奏される第8曲「旗奉献の為の行進曲」は、普段は演奏される機会が少なく、実際に僕が耳にするのも録音以外では今回が初めてになります。因みに、エリアフ・インバル指揮のフランクフルト放送交響楽団の録音では、全8曲を聴く事が出来ます。
明晩は「テ・デウム」に先立って、同じくベルリオーズの大序曲「ウェイヴァリー」が演奏されます。このタイトルをどこかで聞いた事があると思ったら、エディンバラの駅名にもなっている事に気が付きました。エディンバラ生まれの詩人・作家であるウォルター・スコットの記念すべき第1作目の小説のタイトルが「ウェイヴァリー」なんですね。ベルリオーズのこの序曲はスコットのこの作品に着想を得て書かれたそうです。
妙なところでエディンバラとベルリオーズが繋がってしまった感が無きにしも非ずですが、何だか今年の僕の夏休みの締め括りの様にも思えてしまいます(笑)。

「ポーギーとベス」~エディンバラ公演初日

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公演ポスター今夜は、いよいよ「ポーギーとベス」の初日です。写真は、劇場入り口のウィンドウにディスプレイされている公演のポスターの1つで、第2幕終盤、ジェイクの船が転覆したと知って飛び出して行ったクララが、波に飲まれて死んでしまうという大嵐のシーンからのカットです。
今夜はメーキャップの順番が一番最初のグループなので、楽屋入りは17時45分と随分早いです。つまり長いこと“あの格好”でいなければならないという事なんですよ。仕事なので仕方ないですけど、せめてもの救いは8月半ばにしてあまり暑くないと言うことでしょうかね。予報では今日の最高気温は18℃です!

エディンバラへ出発

今日は、これからスコットランドのエディンバラに向けて出発します。
エディンバラ国際フェスティヴァルで、ガーシュインの「ポーギーとベス」に出演します。滞在は丁度1週間ですが、BBCの週間予報を見るとずっと雨降りで気温も18℃前後までしか上がらないようなので、ちょっぴり憂鬱ですが...(-_-;

写真は、今週9日に開通した、国鉄パール・デュー駅からサンテグジュペリ空港まで30分で結ぶトラムウェイで “Rhônexpress” と言い、これまでの空港バスに代わる新しい交通機関なのです。残念ながら今回は利用しませんが、パール・デュー駅は自宅からもすぐ近くだし、お世話になる日もそう遠くないでしょう!

Rhônexpress

トリカスタン音楽祭

トリカスタン音楽祭リヨンから車で南へ2時間ほど下った、ドローム県のサン・ポール・トロワ・シャトー "Saint-Paul Trois Châteaux" で今月16日から開催されているトリカスタン音楽祭で、モーツァルトの「レクイエム」に出演の為、明日から土曜日までまた留守にします。
トリカスタン "Tricastin" と言うのは、ラテン語の "Tricastri" (3つの城)に由来するとかで、現在は仏語で同じ意味である "Trois Châteaux" と表記が変わりましたが、昔は "Saint-Paul en Tricastin" と呼ばれたそうです。
この街は、紀元前4500~3500年、新石器時代に既に集落があった事が分かっており、その後、ローマ帝国の属州であったガリア・ナルボネンシス(ラテン語) "Gallia Narbonensis" の都市として、また、中世、ルネッサンスを通して栄えてきた非常に歴史の古い街です。12世紀に建てられたノートル・ダム大聖堂は、プロヴァンス地方に於けるロマネスク建築の代表作として、1841年に歴史建造物の指定を受けたそうです。
他にも古い建造物や遺跡等が沢山あって、とても面白そうな所なんですけど、明日は向こうに着いたら午後と夜にオケ合わせがあるし、翌日は午前中にGP、そして夜は本番ですからね。それだけならまだしも、土曜日は場所が変わって、もう1つ他の音楽祭に出演の為に移動、そして本番という超過密スケジュールなので、残念ながら今回は観光している時間は全然なさそうです(;_:

まさか...?ちょっとだけマーシャのことが心配なんですけど、明日の夜には妻と娘がパリから帰って来るので、いつもよりちょっぴり遅い晩御飯...位に思ってもらえたらと良いんですけどねぇ(^^;

「ポーギーとベス」~初日

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昨日は、午前と午後にモーツァルトの「レクイエム」のリハーサルがあったので、朝からマーシャは1人(?)でお留守番でした。
夕方には妻達がヴェネツィアから帰って来たので、それはそれでニャンニャニャンニャとマーシャは喜びを隠せない様子でしたが、夜は何故か僕にピタッとくっ付いて寝ていました(笑)。

Porgy '10さて、今日は「ポーギーとベス」の初日です。今回はDVDの収録もあるというので、著作権の関係等でこれ迄カーテンコールには出なかったオペラ座合唱団も、出る羽目になりそうな気配。昨日の内に、急遽、その旨を伝える御達しが携帯にSMSで送られてきました。
DVD化に当たっては、既に前回の格好にはダメが出ていたので、今回の公演では写真の様にボブ・マーリー風のカツラも着ける事になったんです。つまり、「ポーギーとベス」は演奏時間が3時間を越える作品ですから、メイクが終わってから終演まで約6時間こんな格好でいなければならないと言う事なんですよ。
同僚達の中には僕のこの変身振りを面白がって写真を撮る者がいたり、英米の黒人歌手らには「オー・マイ・ガッ!」、「ジーザス!」...と、「そこまでやるかぁ?」みたいな感嘆の声を上げられましたが、一番驚いているのは何を隠そう当の本人です(^^;

「ナイチンゲールとその他の寓話」~初日

ナイチンゲール今夜いよいよ「ナイチンゲールとその他の寓話」が初日を迎えます。一昨日の「ドン・ジョヴァンニ」に続いて昨日はグルックの「アルセステ」が初日だったので、今夜は3作目の初日になるわけです。
ストラヴィンスキーの小品を集めた第1部では、中国の影絵芝居を元にアクロバットのダンサー達が、舞台奥に掛けられたスクリーンにそれぞれの作品のストーリーを“体を使って”映し出します(!)。
しかし、今回最も目を見張るのは、第2部の「ナイチンゲール」の演出でしょう。オケピットにはおよそ7万リットルの水が張られ、そこで、「映像の魔術師」と評されるケベック生まれの演出家、ロベール・ルパージュが作り出す不思議な世界が繰り広げられます。
ベトナムの水上人形劇「ムアゾイヌオック」にヒントを得、日本の伝統芸能「文楽」を融合させたという今回の演出では、題名役のソプラノ以外のソリストは皆半身“プール”に浸かり、それぞれ人形を操りながら歌います。幸い、合唱はプールには浸かりませんが、ソリスト同様それぞれが人形を操りながら歌うのは一緒。人形を操ったり舞台変換も行う黒子風に扮したダンサー達はプールにも入ったりするので、全身ウエットスーツに身を包み頭の天辺から爪先まで真っ黒です。また、プール(オケピット)の両脇には歌舞伎の「セリ」のような舞台があったり、メイクは歌舞伎の隈取風です!?
オケピットはこのような理由で“メイン・ステージ”と化しているので、オーケストラは舞台奥に配され、その前で振る指揮の大野さんは僕らの後ろにいるので、ホール内の数箇所に設置されたモニターを通してしか見ることが出来ません。
因みに、「ナイチンゲール」は中国が舞台。中国皇帝は中国語では「黄帝」と書くそうですが、皇帝が取っ替え引っ換え違う色の衣装に着替えるので、「皇帝は黄色しか身に付けない!」と中国出身の同僚が怒ってました。その他、赤は「中国皇帝に忠実に仕える臣下」を示す色だそうですから、侍従(バリトン)や廷臣(合唱)の衣装は何色が適切なのかお分かりでしょう。
西洋人の想像する「アジア」は、時に、非常に理解に苦しむことが多々ありますが、文化・伝統くらいは少し勉強しても良いんじゃないかと思います。それとも、これも「ルパージュ・マジック」の醍醐味なんでしょうかね(^^;

ジュ・ドゥ・ポム劇場

サッカー・ワールドカップ、日本残念でしたね。でも、良い試合でした。お疲れ様!

ジュ・ドゥ・ポム劇場さて、今日の午後は、「ナイチンゲール」のオケ付き舞台稽古、しかも衣装付きだったので予定より少し早い楽屋入りでした。また前半、客席には400人余の小学生が見学に来ていました。
今夜はその他の作品のリハーサルなのでオフ!明日は朝からなので、ゆっくり休養といきたいところです(^^)
今回のプロダクションで「ナイチンゲール」は、休憩後の第2部に上演され、それに先立つ第1部には同じくストラヴィンスキーの小品が上演されますが、その殆どがオペラやバレエ等の舞台作品ではないところが興味深いです。
先日書いた「4つのロシア農民の歌」は女声合唱ですが、その他、「ラグタイム」(1918年)、「クラリネットのための3つの小品」(1918年)、「バルモントの2つの詩」(1954年改訂版)、「プリバウトキ」(「戯れ歌」1914年)、「猫の子守唄」(1915年)、「きつね」(1916年)が演奏されます。
「ラグタイム」は11の楽器からなる管弦楽曲、「クラリネットのための3つの小品」はクラリネット・ソロによる曲なので分類上は室内楽、続く3タイトルは歌曲集で、ストラヴィンスキー自身が「男声によって歌われるのに適している」と言っていた「プリバウトキ」は、実際には女声によって歌われることの方が多く、今回もメゾ・ソプラノによって歌われます。コントラルトと3本のクラリネットのために書かれた「猫の子守唄」は、全4曲からなる4分足らずの小品ですが、1919年ウィーンでの初演に際してウェーベルンが絶賛したという曲です。
そして、最後の「きつね」は、元々はバレエ音楽として書かれたものですが(1922年パリ・オペラ座初演)、分類上はブルレスケ(仏語ではブルレスク "bourlesque"、日本ではしばしばブーレスク)という「ユーモアと辛辣さを兼ね備えた、剽軽でおどけた性格の楽曲」(Wikipediaより)に属します。この作品のストーリーも、「雄鶏を狙うきつねを猫とヤギが妨害する」という滑稽なロシア民話が元になっていて、それぞれを4人の男声ソリストが歌います。ストラヴィンスキーはこの曲がバレエ音楽と言う性質からなのか、作曲時には4人のソリストをオーケストラ・ピットに配するように指定していますが、今公演では舞台上にいます。

写真は、エクサン・プロヴァンス音楽祭の会場の1つである、ジュ・ドゥ・ポム劇場 "Théâtre du Jeu de Paume" というこの町で最も古い劇場の1つです。ルイ14世が、「ジュ・ドゥ・ポム」の練習に使ったという球技場を18世紀になって劇場に作り変えたそうです。ジュ・ドゥ・ポムは、手のひら(ポム)やグローブでボールを打ち合うことからその名が付いたようで、8世紀にフランスで発生した「ラ・スール」 "La Soule" がその原型と言われ、フランスの王侯貴族の間で流行した球技です。また、英仏の百年戦争中、アジャンクールの戦いで囚われの身となったオルレアン公と共にイギリスにこの球技が伝わり、後にテニスが誕生したとも言われています。
この写真は音楽祭のサイトから拝借したものですが、この18世紀イタリア様式の馬蹄形劇場の大きさと言い形と言い、写真を見た途端、僕がまだイタリアにいた頃に歌ったことがある、その昔、ベニアミーノ・ジーリも歌ったと言うピサ近郊の小さな町の劇場を思い出しました。
今年の音楽祭では、主に国際音楽アカデミー受講生、修了生のコンサートやリサイタル等が催されます。

「ナイチンゲール」~KHP

プロヴァンス大劇場今日の午後は、「ナイチンゲール」のKHPです。
プロヴァンス大劇場は、竣工が予定より1年遅れて、2007年の音楽祭にワーグナーの「ワルキューレ」で開場した新しい劇場。噴水広場の西側(東側にミラボー通り)に広がる再開発地域の一角にありますが、滞在中のホテルからは徒歩で5分と超便利!
今年は「ナイチンゲール」の他に、ラモーの「ピグマリオン」の公演、ロンドン交響楽団のコンサートが行われます。

アルシュヴェシェ劇場こちらは、1948年に音楽祭が始まって以来、メイン・ステージとして数々の名演を生んできた「アルシュヴェシェ劇場」 "Théâtre de l'Archevêché" の舞台。サン・ソヴェール大聖堂に隣接する大司教館の中庭に建てられた屋外特設劇場です。
今年はモーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」とグルックの「アルセステ」の公演が行われます。

今夜はリハーサル終了後、貸切バスで一旦リヨンに戻る予定なんですけど、果たして向こうには何時に着くのやら...。

パヴィヨン・ヴァンドーム

サッカー・ワールドカップ、日本がデンマークに3対1で勝って決勝トーナメント出場を決めましたね。リハーサルが終わってホテルに戻ってテレビを点けたら、もう既に2対0でリードしていたのでビックリしましたが、その後、結局試合終了までずっと観続けてしまいました。いや~しかし良かった。素直に嬉しいです\(^o^)/

パヴィヨン・ヴァンドーム閑話休題。今日のお昼は、17世紀の貴族、ヴァンドーム公爵が逢引のために造らせたという館、「パヴィヨン・ヴァンドーム」 "Pavillon Vendôme" の庭園で音楽祭主催のランチ・ビュフェが開かれ、各演目の出演者、スタッフ、そして国際音楽アカデミーの参加者等が招待されました。オペラだけでも「ナイチンゲール」の他に、モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」、グルックの「アルセステ」等、全部で5タイトルありますからね、大変な人数でした。それぞれ公演が行われる劇場が違う上に、リハーサルの時間帯が微妙に被っているので、こういう機会でもない限り同じ市内にいながらお互いに会う事もないですからね。お陰で他所で共演した懐かしい面々とも再会する事が出来ました(^^)
因みに、普段は無料で開放されている庭園も今日は貸切だったので、ここでもスタッフパスが活躍しましたよ~(^^;

ランチ・ビュフェランチ・ビュフェ。
立て掛けてある長方形の物は南仏名物の「フガス」 "Fougasse" で、オリーブ油入りの発酵生地を平たく延ばして焼いたパン。穴が開いているのが特徴です。今日のはオリーヴ入りでした。それから、オリーヴ・ペーストのタプナードのカナペも美味しかったです(^^)

エクサン・プロヴァンスに到着

スタッフパスエクサン・プロヴァンスのホテルには、予定よりちょっと遅れて16時15分頃にチェックインしました。リヨンから乗る筈だったTGVが少し遅れていた上に、TGVの駅から市内までも音楽祭の送迎バスで20分位掛かりましたからね。
そして早速、夕方から会場となるプロヴァンス大劇場 Grand Théâtre de Provence で舞台稽古がありましたが、移動の後の稽古は流石に疲れます。明日からは普段リヨンにいる時のように朝早起きしなくて済む分、もうちょっと楽になるかと思いますけどね(笑)。
写真は、音楽祭期間中に劇場に入る為のスタッフパスです。失くさないよう気を付けないとね(^^;

エクサン・プロヴァンス音楽祭

エクサン・プロヴァンス音楽祭明日からエクサン・プロヴァンスに行きます。同地で毎年開催される音楽祭にリヨン国立歌劇場のメンバーとして参加する為で、7月に公演があるストラヴィンスキーの歌劇「ナイチンゲール」に出演します。
このオペラの原作は、アンデルセンの童話「皇帝とナイチンゲール」(邦題) "Nattergalen" です。録音もこれまでに幾つかリリースされていますが、その中では、全体的な完成度から何と言ってもブーレーズ盤が秀越でしょう。次いで、ストラヴィンスキー自身が指揮をしている1960年の録音がとても興味深いですね。また、同盤でナイチンゲール役を歌っている当時まだ20代だった、黒人ソプラノのレリ・グリストが声・テクニック共に素晴らしいです。
尚、今回エクサン・プロヴァンス音楽祭では、リヨンで「こうもり」のアデーレも歌ったオルガ・ペレチャトコが歌います。また、同プロダクションは、今年10月にリヨン国立歌劇場でも上演されます。

明日から約3週間の滞在になりますが、音楽祭が用意してくれたアパートホテルはインターネットも使えるので、滞在中は快適なネット・ライフが送れることでしょう(笑)。また、フランス国内と言う事もあり、今週末には一旦リヨンに帰って来ま~す(^^)

「ロード・オブ・ザ・リング」~GP

開演前昨夜は「ロード・オブ・ザ・リング~旅の仲間」のフィルム・コンサートのGPでした。
写真は、始まる前に娘が妻の携帯で撮ったものですが、合唱はスクリーンの両脇斜め前(向かって右側は児童合唱)に位置しているので、歌っていない時はそれこそ巨大スクリーンでストーリーを追う事が出来ちゃうんです! 因みに、舞台の真ん中に光って見えるのは指揮者用のモニターで、ここに映画の本編とキュー出しが映し出されるようです。
今回は字幕付き原語上演ですが、例によって仏語版では登場人物の名前がオリジナルとは微妙に違うので、喋ってる英語と字幕とでは違っていてちょっと厄介です。それから、本編は前半と後半に分けられて間に休憩時間があります。イタリアでは普通の映画でさえ必ず前・後半に分かれていますが、今回の様に3時間もある長編で、しかも生演奏となればオーケストラの楽員も合唱もかなり疲れますからね。必要不可欠です! 僕なんか終演時にはスコアを持っていた右腕が攣りそうでした(^^;
そして、いよいよ今夜から本番が始まるわけなんですけど、個人的にはやっぱり昨夜の続きが見たい気がしますが...(笑)。

フェスティヴァル・プーシキン~最終日

「スペードの女王」第1幕よりいよいよフェスティヴァル・プーシキンも今日でおしまい。今夜は最終日に相応しく、チャイコフスキーの歌劇「スペードの女王」で締め括りになります。
写真は、第1幕第1場の「公演の広場」。オペラ座のサイトから拝借しました。台本のト書きには季節は「夏」とあるんですけど、女性の格好はともかく、男性は皆どちらかと言うと冬支度です。僕の衣装も上半身はシャツ、ベスト、上着、コート、それに頭にはシルクハットと、どう見ても完全防寒ですよ。サンクト・ペテルスブルクは夏でもそんなに寒いんでしょうかねぇ(笑)。
今回の公演中、どんなに天気が良くなくて寒い日でも、「スペードの女王」の時には暑いと感じたんですけどね。今日なんか18時現在でもまだ22℃もありますからどうなることやら...(^^;
さて、そろそろ出掛けるとしますか!

「マゼッパ」~最終公演

ロン毛~!今日のリヨンは朝からとても天気が良いです。予報では日中の最高気温も18℃位まで上がる見込みです。午前中に次の演目の衣装合わせに行ってきましたが、もう既にお陽様が眩しかったです。やっと春っぽい感じですね。
そして今夜のリヨン・オペラ座は、いよいよ「マゼッパ」の最終公演です。
前回2006年の公演時との違いは、僕の場合このロン毛!4年ちょっとの間に、こんなに伸びてしまったと言うわけではなく、勿論、これは付け毛ですよ。それから、チンギス・カンの末裔の様だった第2幕最終場のあの髭面も、顎部分は剃り落として(付け鬚無し)で、もっとサッパリしています。衣装さん(女性)の趣味が変わって、初めのイメージとは違ってしまったんでしょうかね(笑)。
因みに、写真は楽屋でXperiaのカメラで撮ったものですが、衣装の他に同僚の私物とかも写っていたので、背景は念の為、暈しておきました(^^;

「モーツァルトとサリエリ」

「モーツァルトとサリエリ」今日のリヨン・オペラ座は、チャイコフスキーのオペラの公演はお休みで、プーシキンの同名詩劇を基に、ニコライ・リムスキー=コルサコフ自身が台本を書き作曲した、歌劇「モーツァルトとサリエリ」の公演があります。
リムスキー=コルサコフは、ロシア5人組(19世紀後半、ロシアで民族主義的な芸術音楽の創造を志向した作曲家集団)の1人で、管弦楽法の大家としても知られます。代表作、交響組曲「シェエラザード」を始め、序曲「ロシアの復活祭」、歌劇「サトコ」、歌劇「金鶏」等が有名です。
今回の「モーツァルトとサリエリ」は、1幕2場(上演時間約45分)からなり、アリア等はなくテノールのモーツァルトとバリトンのサリエリが対話するように殆どがレチタティーヴォで進行します。
全曲を通して古典派の様式を思わせる曲想が多用されている所為か、これが本当にリムスキー=コルサコフの曲なのか?という錯覚に陥ってしまいます。また、作品中には「ドン・ジョヴァンニ」のツェルリーナのアリアや、「レクイエム」第1曲目の冒頭部分等が引用されていますが、サリエリが渡したワイン(毒入り)を飲み干した後で出てくる「レクイエム」は、オーケストレーションがモーツァルトのそれとは異なる一種独特の響きをしているからなのか、僕は何か胸騒ぎの様なものを覚えます。

1898年の初演時サリエリ役を歌った、ロシアを代表する世界的なバス歌手、フョードル・シャリアピンは、「『ボリス・ゴドゥノフ』よりも遥かに難しい」と言ったとか言わなかったとか...。でも、スコアを見る限りでは、ボリスの方がよっぽど難しいと僕は思うんですけどね。

今夜はこの他、以下の曲が演奏されます。

  • モーツァルト:交響曲第26番 K184
  • チャイコフスキー:組曲第4番「モーツァルティアーナ」

「マゼッパ」~2回目公演

今夜のリヨン・オペラ座は「マゼッパ」の2回目の公演です。ところが、今日は所得税に於ける芸術・文化系の職業控除撤廃、劇場への助成金削減等に反対する全国ゼネストの日。「5月6日は国内で行われる一切の公演を中止して国に対して断固訴えよう!」と言う事で、リヨン市内でも県庁周辺や中心部で抗議デモなどが午前と午後に行われ、一時市内交通が遮断されると言う事態が起こりました。しかし、リヨン・オペラ座ではストの告知を届け忘れてしまったのだとかで、労組組合員等によるデモ参加はあっても、今夜の公演は通常通り行われる事になりました。
当然の事ながら僕は外国人ですから、国の政策に従ってこそ滞在・労働が許可されているわけで、こういう動きに先頭に立ってどうこうする立場にはありませんけど、フランス人が大好きな「一致団結して」というコンセプトから考えたらちょっぴり疑問が残ります。

さて話は変わりますが、ネットを徘徊している時に偶然にも前回2006年公演の「マゼッパ」のライヴCDを売っているオーストラリアの怪しい(?)サイトを見つけてしまいました。他にも他所では決して手に入らないタイトルが沢山ありましたが、リヨンの「マゼッパ」は3枚組で価格は45$AUD(プラス送料12$AUD)でした。公演当時、どことも販売契約は結んでいないので、これって明らかに違法だと思うんですけどねぇ...。

海賊盤販売サイト!?

「スペードの女王」~初日

「スペードの女王」プログラムより今日のリヨン・オペラ座は「スペードの女王」の初日です。他の2つのチャイコフスキーの作品と違って、日曜日という事で16時開演になります。しかもこの演目は、5回の公演中、3回は日曜日、2回目は火曜日の夜だけど翌水曜日は学校が休み、最終日は金曜日の夜だけどその後はペンタコステ(聖霊降臨の主日)の長い週末になる...と言った具合に、いずれの場合も第1幕に登場する児童合唱の子供達の事を考慮に入れてスケジュールを組んだんじゃなかろうかと思われます。
写真は公演プログラムの中の挿絵です。ご覧の通りトランプのスペードのクィーンのようですが、「D」の文字がロシア語のアルファベットでも使われるキリル文字になってますね。
因みに、このオペラは勿論ロシア語上演なんですけど、第3幕で伯爵夫人の弔いに歌われる聖歌は、一般のロシア語とは少々発音が異なるロシア正教会の発音によるものです。

「エフゲニー・オネーギン」~初日

「エフゲニー・オネーギン」第3幕より今日、リヨン・オペラ座は「エフゲニー・オネーギン」の初日です。
昨夜は「マゼッパ」の初日でしたが、フェスティヴァルの初日でもあった所為なのか、開演の数時間前から仏国営放送が取材に来ていました。僕が髪の毛をセットしてもらっている間中もずっとカメラが回ってたんですけど、あれってちょっとくらいオンエアされるのかな?

写真は前回の公演時に撮影されたもので、第3幕第1場の舞踏会の場面。因みに写真に向かって右端、斜め後ろ向きに立っているのが僕です(^^)

フェスティヴァル・プーシキン~開幕

フェスティヴァル・プーシキン今日からいよいよリヨン・オペラ座でフェスティヴァル・プーシキンが開幕。5月21日までの期間中、チャイコフスキーのオペラ3本、リムスキー=コルサコフのオペラ1本(演奏会形式)を含むシンフォニー・コンサート、ロシア歌曲の夕べ、室内楽のコンサートが予定されています。そして第1夜の今日は「マゼッパ」です。
「マゼッパ」はプーシキンの詩「ポルタヴァ」を基にヴィクトル・ブレニンが台本を書き、チャイコフスキーによって作曲されたオペラです。原作はピョートル大帝に謀反を起こした歴史上の人物イヴァン・マゼッパについて書かれたもので、ポルタヴァとは東ウクライナのポルタヴァの事であり、ロシア帝国とスウェーデン王国との間に21年間に亘って繰り広げられた大北方戦争中、スウェーデン軍の敗戦を決定的にしロシア軍を勝利へと導いた最大の戦いである「ポルタヴァの戦い」を指しています。
チャイコフスキーのオペラでこの史実は、第3幕冒頭に「交響的シーン~ポロタヴァの戦い」として描かれています。また、このオペラの導入曲は劇的で力強く、静かにさり気なく始まるチャイコフスキーの他のオペラとは対照的です。その後、幕を開けた後も次々と美しいメロディー、劇的で勇壮、且つ、悲痛な音楽が奏でられ、聴き手の心を鷲掴みにします。

「スペードの女王」~G.P.

仮面土日は2晩続けて違うオペラのGPがあったので、昨日はあまりの疲労に一日使い物になりませんでした。今夜は気を引き締めて「スペードの女王」のGPです。
前回も書きましたが、「スペードの女王」はチャイコフスキーのオペラの中で2番目に上演回数が多い作品です。僕がまだミラノにいた頃にもミラノ・スカラ座(小沢征爾指揮)、カターニア・ベルリーニ劇場等で、また、最近フランス国内ではパリ・オペラ座、トゥールーズ・キャピトル劇場等で上演されています。日本でも昨年はボリショイ劇場による公演があったので観に行かれた方もいらっしゃるでしょう。
ここリヨン・オペラ座では2002/03年と2007/08年のシーズンに上演されていますが、今回の「フェスティヴァル・プーシキン」では、第2幕の劇中劇である牧歌劇『ダフニスとクロエ』の部分がカットされた2007/08年の演出版が上演されます。

チャイコフスキーの作り出す叙情的で劇的な音楽の美しさはこの「スペードの女王」の中でも随所にみられ、ゲルマンのアリア「その人の名前も知らない」、トムスキーのアリア「3枚のカードのバラード」、エレツキーのアリア「私は貴女を愛しています」、リーザのアリア「ああ、心配で疲れ切ってしまった」等々、有名な曲も多いです。如何せん、上演時間が休憩時間や舞台転換を含むと約4時間もあり、今回のフェスティヴァルの3作品中では最も上演時間が長く、出番も最初から最後まで満遍なく配されているので体力勝負みたいな感があります。しかも、登場人物が3人も死んでしまうのでちょっと重いです。プーシキンの作品は悲劇が多いので、仕方がないと言えばそれまでなんだけど、その3人のうち原作では伯爵夫人しか死んでないのにね...。
写真は第2幕第1場、仮面舞踏会の場面で僕が着けている仮面です。賭博の3枚のカードがキーワードとなるオペラだけに、こんな所にも3枚のカードがモチーフとして使われています。

「エフゲニー・オネーギン」~G.P.

「エフゲニー・オネーギン」第2幕の衣装昨日の「マゼッパ」のGPに続いて、今夜は「エフゲニー・オネーギン」のGPです。
「エフゲニー・オネーギン」はチャイコフスキーのオペラの中で上演回数が最も多い作品です(次が「スペードの女王」)。プーシキンの原作が題名通りオネーギンの目線で物語が書かれいるのとは対照的に、シロフスキーの台本によるチャイコフスキーのオペラでは主にタチアーナに焦点を合わせて書かれいてます。随所にチャイコフスキーの美しい叙情的な旋律美が活かされており、苦悩するオネーギン、毅然としたタチヤーナ等、各登場人物の内面的感情が深く表現されています。また、バレエ音楽の巨匠に相応しく、ワルツ、マズルカ、ポロネーズ等の舞踏音楽がふんだんに使われているところは流石ですね。そして、タチアーナのアリア「手紙の場」、レンスキーのアリア「青春の日は遠く過ぎ去り」、グレーミンのアリア「誰でも一度は恋をして」等々、コンサートでもよく歌われる有名な曲も登場します。
写真は第2幕第1場、ラーリナ家で催されるパーティーへ出席する際の衣装を着たところ。前回、2007年1月の公演の際に撮られたものです。自分で言うのも少し気が引けますが、病み上がりと言う所為もありかなりホッソリしていますね。今回も同じ衣装を着てるのに見た目が随分違う感じがします(笑)。
1日置いて火曜日は「スペードの女王」のGPです。

振り付けの稽古

バレエ・スタジオからの眺めリヨンのオペラ座で4月29日~5月21日に「フェスティヴァル・プーシキン」と題して、チャイコフスキーの3つのオペラ「マゼッパ」、「エフゲニー・オネーギン」、「スペードの女王」が上演されます。
今週から「エフゲニー・オネーギン」のリハーサルが本格的に始まリ、初日の月曜は音楽稽古に始まり、翌火曜から幕・場毎に立ち稽古とダンスの稽古が入れ替わり立ち代りで行われ連日大忙しです。
今日の午後は、第3幕・第1場のグレーミン公爵邸の大舞踏会の場面の振り付けの稽古だったので、地下5階にある立ち稽古を行っているリハーサル室から、バレエ・スタジオがある地上11階まで一挙に上昇!
昨日は冬に逆戻りした様な天気(写真)で、夜、明日(13日)のコンサートの為に伴奏合わせに行ったリヨン近郊の某所では、合わせが終わって外に出たら雪が1センチほど積もっていました。今朝だってまだ気温はマイナス2℃と結構寒かったのに、午後には天気が良くなって、陽の光が容赦なく降り注ぐバレエ・スタジオは眩しくてタマリマセンでした。オペラ座にいる時は、その殆どを地下で過ごしているので(前述のリハーサル室の他、楽屋は地下3階、コーラスのリハーサル室は地下4階)、知らず知らずのうちに太陽光が苦手になっちゃってるのかな...(^^;

ショスタコーヴィチ:「モスクワ、チェリョームシュキ」

Moscou昨夜はリヨンから南へ車で1時間ほどの町でコンサートがあったので、午後から出掛けておりました。急病で降板となったテノール氏の代役を急遽務めたわけですが、依頼を受けたのが木曜日の朝で、その日、午後のオペラ座のリハーサル後に指揮者と打ち合わせをしただけの殆どブッツケ本番(!)でした。幸い、何度も歌った事のある曲だったので特に支障はありませんでしたが、ここ2~3日余り急に冷え込んできているので、体調管理が大変だと痛感せずにはいられません。
さて、今夜はショスタコーヴィチの喜歌劇「モスクワ、チェリョームシュキ」のG.P.です。これは5年前のプロダクションの再演なので僕は前回と同様タクシー・ドライバー役を演じますが、指揮者をはじめ殆どの主役が前回とは違うので、再演とは言え稽古期間もそれなりに長かったです(^^;
明後日の15日が初日で31日まで全9回公演。今回は France Musique によるラジオの収録の他、DVD化も予定されており、クリスマス後の29日の公演は "ARTE Live Web" によりインターネットでライブ中継される事にもなっています。

いつ一緒に遊ぶニャ?!

週末から週明けにかけて多忙を極めておりました。オペラ座の仕事はもとより、その他に2つの異なるレパートリー(ほぼ両極端)のコンサートの本番があったので、そのためのリハーサルも含めると目が回るような思いでした(@@;
幸いオペラ座の方は、昨日からリハーサルが午後と夜のシフトに移ったので、午前中に溜まっていた雑用をこなせるので助かります。朝から夕方まで拘束されてしまうと、買い物にすら行けませんからね(笑)。でも反面、マーシャには「いつ一緒に遊ぶニャ?!」と抗議されそうです...(^^;

いつ一緒に遊ぶニャ?!

「ポリフォニーと室内楽の名人」

Festival Musique d'Ensemble明日15日は、リヨン近郊、ロワール県のポミエと言う小さな町で開催されるアンサンブルのフェスティヴァルでコンサートがあります。
2009年はハイドンの没後二百年と、メンデルスゾーンの生誕二百年にあたる年と言う事で、このフェスティヴァルも「ポリフォニーと室内楽の名人」と題して、ハイドンとメンデルスゾーンの曲が中心に演奏されます。
今回はダブル・クワルテットの男声アンサンブルのメンバーとして参加。僕達のアンサンブルは約1時間半のプログラム中、メンデルスゾーンの曲を幾つか選びました。その中の1曲、モテット「晩課の歌 作品121」(全5曲)は、主催者側からのリクエストによるものです。
このところ連日暑い日が続いていますが、明日は日中の最高気温が35℃と、更に暑さが厳しくなると言う予報です。開演は17時ですが、きっとまだまだ暑いでしょうね...(^^;

ロッシーニ:「小荘厳ミサ曲」

Petite Messe Solennelle来月2日にロッシーニの「小荘厳ミサ曲」のソロを歌います。場所はリヨン5区にある Salle Molière で、20時開演です。
今回は、シーズン途中で突然助成を打ち切られる等の理由から資金難に陥り解散の危機にある、このコンサートの主催団体を救う為のものなので、全員無償参加。と言う訳で、個々の負担がちょっとでもなくなる様にと言う指揮者の意向で、4声のソロ・パートも複数人で分担になります。
尤も、この曲はスコアにも書かれている様にソリストも合唱部分を歌う事になっているし、フランスでは何故かこのソロを分担して演奏される事がよくあるので、特に珍しい事じゃないんですけどね(笑)。
この曲は昔、90年代後半にメゾ・ソプラノのルチア・ヴァレンティーニ=テッラーニとサン・レモで歌うと言うチャンスがありました。ところが、彼女が急性骨髄性白血病で倒れ、化学治療・移植手術の甲斐なく98年に亡くなってしまい、実現には至りませんでした。あの時はとてもショックを受けた事を覚えています。

オペラ座の方は、「椿姫」の初日が日曜日に明け、来月7日まで9回公演。コンサートの方も今週初めからリハーサルが始まり、また少し忙しくなりました。夏休みまであともう少し!最後まで気持ちを引き締めて頑張らないとね(^^)

オペラ・バスティーユ

Opéra Bastille昨日、「いやいやながらの王様」の4回目の公演が終わり、明晩の最終公演を残すのみとなりました。
これまでの流れから行けば、今日はオフと言いたいところなんですけど、今日は一日、オペラ・バスティーユのリハーサル室を借りて、リヨン・オペラ座の次公演、「ヴェニスに死す」の音楽稽古がありました。なので、パリ滞在中の恒例となりつつあった美術館巡りは、今日はお休み。お昼休みにお寿司を食べに行っただけです(笑)。
オペラ・バスティーユは、フランス革命二百周年を記念して、フランス政府が国の威信を掛けて建設した国家的スケールの大建造物。大ホールの客席数も2703席と、兎に角、でかい! 今朝はいきなり、乗るべきエレベーターを間違えてしまい、危うく迷子になってしまうところでした(^^;
この写真は殆ど真下から撮ったものですが、全体を撮ろうと思ったらかなり後ろ(バスティーユ広場の向こう側?)まで下がらないと無理でしょうね。

パリ、オペラ・コミーク座

Opéra Comiqueパリ、オペラ・コミーク座は1714年の開場のフランスでも最も古い劇場の1つです。これまでに2度火災に遭っていますが、現在の劇場は1893~1898年に再建されたものです。
通称「サル・ファヴァール」 "Salle Favart" と呼ばれる大ホールは、客席数は1255とリヨンのオペラ座と比べると155席多いですが、舞台袖や奥行きに余りゆとりがな為、例えばリヨンでは舞台装置だった舞台奥の壁は、劇場の本物の壁がそのまま使われるなど、様々な変更が加えられています。
僕がこの劇場に初めて来たのは今から13年程前の事で、パリ・オペラ座のジャニーヌ・ライスのマスター・クラス受講のオーディションの為でした。パリには他にも沢山の劇場やコンサート・ホールがありますが、歌のオーディションはここオペラ・コミーク座が使われる事が多いそうです。その理由がどうしてなのか僕は知りませんけどね。
そして、今回公演のシャブリエの歌劇「いやいやながらの王様」は、実はこの劇場で初演されたんです。120年の月日を経て生まれ故郷に帰るなんて、何だかとても不思議な感じがします。

「賭博者」TV生中継?

ル・モンド紙のテレビ欄WEB版一旦は中止と思ったテレビ収録ですが、今日のル・モンド紙WEB版のテレビ欄を見たら、今夜20時半から「Le Joueur」(仏語で「賭博者」)と書いてあったのでちょっと驚いています(写真をクリックで拡大表示します)。しかも放送局は音楽専門チャンネルの "Mezzo" です。念の為、他の新聞やテレビガイド等も見てみたんですけど、やっぱり同じ事が書いてありました。
公演が始まるのが20時ですから放送は30分遅れですが、放送終了時間から逆算すると、幕間の休憩時間(30分)を見越しての時間差の放送開始。つまり、休憩後の第3幕からは生中継と言う事じゃないですか!?
ところがです。Mezzo のサイトでは今夜は「戦争と平和」になっています。何れもプロコフィエフのオペラですけど、一体どっちが最新の情報なんでしょう???

※23時57分:追記
つい今しがた帰宅したところですが、やっぱりテレビの中継はありませんでした。いくらなんでもカメリハもなしでぶっつけ本番はないだろうと思ったんですけどね(笑)。でも何はともあれ、無事に全公演が終わってホッとしました(^^)

「賭博者」ラジオ収録

「賭博者」プログラムより「賭博者」の公演も今夜を入れてあと2回を残すのみとなりましたが、今夜と最終日は、France Musique によるラジオの収録があります。
因みに、当初から予定していたNHKとARTEの共同によるテレビの収録とDVD化は、中止となってしまいました。
この「賭博者」は1917年に曲が完成したにも拘らず、ロシアの二月革命、十月革命等の影響で1929年にブリュッセル・モネ王立劇場で初演されるまで日の目を見る事がなかった作品です。他の作品に比べてその後も今日まで上演される機会が極めて少ないですが、今回のリヨン・オペラ座の公演以外に、この1年余りの間にメトロポリタン歌劇場、ベルリン国立歌劇場、ミラノ・スカラ座(ベルリンと共催)と言った世界の主要歌劇場で上演されると言う偶然が重なりました。また、リヨンでもアレクセイ役を歌っているミーシャ・ディディクとポリーナ役を歌っているクリスティーナ・オポライスが出演した、チェルニアコフ演出、バレンボイム指揮のベルリン国立歌劇場での公演がDVD化されると言う噂を耳にしますが、こんな事が今回のテレビ収録中止と関係あるのでしょうか。一音楽家と言う立場から考えたら、色んなバージョンがあった方が、聴き比べ、見比べる事が出来てとても参考になるんですけど、ちょっと残念に思います。

ドヴォルザーク:「スターバト・マーテル」

ドヴォルザーク:「スターバト・マーテル」昨夜はドヴォルザークの「スターバト・マーテル」の本番がありましたが、今回はテノール・ソロのカヴァーを務めました。
予定していたソリストが不調と言う事で依頼を受けたのが火曜日の夕方で、水曜日の朝のリハーサルから参加。カヴァーは表舞台には姿を出さない要員で、リハーサルが滞りなく遂行される事と、万が一の場合には代わりに本番を務めなければならないので、本役よりも体調とか気にしちゃって結構大変なんですよ。勿論、本番も歌えば報酬もそれなりに...なんですけど、それはまた別問題です(笑)。
この「スターバト・マーテル」は、1875年9月に長女を失ったドヴォルザークが翌年2~5月に作曲したピアノ伴奏によるもので、多くの文献ではオーケストレーションの前の「スケッチ」と書かれていますが、その後1877年に相次いで更に2人の子供を失った際に完成に至った、今日通常演奏されるオーケストラ版とは部分的に異なる為、「1876年版」(または「オリジナル版」)と言う風に区別されます。
当時の彼は既に音楽家として成功を収め、仕上げなけらばならない曲が他にも沢山あり多忙だった事は明らかですが、この1876年版は曲数が7曲とオケ版に比べて3曲少なく、終曲の後半部分(アーメン)は途中で書くのを止めてしまったのではないかと言う印象すら受けます。その辺が「スケッチ」と言われる所以かもしれませんが、実際には子供を失った悲しみが再びこみ上げてきて上手く書けなかったのではないかと言う気がしなくもありません。

この1876年版の楽譜(写真)は、ベーレンライター社プラハ支店からのレンタルのみです。基本的にコピー譜を使用しての演奏は例外を除いて著作権等の理由で禁止されているので、演奏の度にレンタルする事になります。オケ版の方は多社から出版されているので用意するのも楽なんですけどね。

「賭博者」初日

「賭博者」ポスター今日はいよいよプロコフィエフの歌劇「賭博者」の初日。あと1時間ちょっとで幕開きで~す!
ところで、この作品の日本語タイトルですけど、巷では「賭博師」と書いてある場合もありますが、ドストエフスキーの原作を日本語訳されている原卓也氏に敬意を表して、また、ショスタコーヴィチの未完の歌劇「賭博師」と区別するためにも、僕は「賭博者」とずっと書いています(^^)

「賭博者」KHP

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「賭博者」の舞台より今夜は「賭博者」のKHPです。
KHPは独語で「ピアノ伴奏による総稽古」 "Klavier Hauptprobe" の略で、仏語では "Piano-générale" と言います。尤も、KHPとかGPと言う風に略すのは日本だけの事で、他所では通じませんけどね(^^;
昨日まで幕・場毎に細切れに行なってきた作品を全部繋ぎ合わせて、本番さながらにメイク&衣装付きで全幕を通して行うわけですが、オーケストラが入る前の「総まとめ」とでも言ったら良いでしょうか。これまでのリハーサルでは判らなかった舞台転換、衣装替え、出入り等のタイミングも明らかになるので、全体の流れを知る上で非常に大事なリハーサルです。
いつもはここで想像も付かなかった、あるいは予想通りのハプニングが起こるんですけど、さて、今夜はどうなるでしょう...。

「賭博者」衣装合わせ

衣装合わせ今日は午前と午後のリハーサルの合間に、次の公演演目であるプロコフィエフの歌劇「賭博者」の衣装合わせがありました。
僕が今回歌うのは、第4幕のカジノの場面に登場する第2のクルピエ役です。クルピエ Croupier はカジノ用語でルーレットの親を意味する仏語ですが、平たく言うとカジノの従業員ですね。また、日本語に訳すと「胴元」と辞書には載っていますが、それだと僕はどうしても時代劇や任侠映画に出て来そうな別の姿を思い浮かべてしまいます(^^;
写真は衣装に合わせて用意された様々な色・スタイルの靴です。実際には昨日まで公演があった「こうもり」の衣装を(一部を除いて)殆どそのまま使うと言うの事が分かったので、今日は何しに言ったのかイマイチ分かりません。もしかしてクリスマスから年末年始にかけて、体型に変化がないかチェックするためだったのとか...(笑)。

シュトラウス:喜歌劇「こうもり」

「こうもり」リヨン・オペラ座の次の公演は、シュトラウスの喜歌劇「こうもり」です。
今回僕が歌うのは、第2幕にオルロフスキー公爵邸で催される舞踏会の招待客の一人で、ラムジンと言う役です。この役は、1874年の初演以来「ロシア大使館員」と言う設定だったのが、現在一般に使わるようになったウィーンのシュトラウス・エディションによる1999年の改訂版(今回リヨンでも使用)では、「日本大使館員」に変更されています!何故???
この改訂版は、ドイツのシュヴェリン歌劇場で1896年に上演以来保存されていたシュトラウス自身の手書きによる総譜と、シュトラウス個人蔵の総譜を基に1906年頃にドイツのクランツ社から出版されたを総譜(現在はウィーン・フィルの歴史資料館所蔵)によって編纂されているそうです。

この作品は、原作がメイヤックとアレヴィによる戯曲「大晦日の夜の大騒ぎ」 "Le réveillon" による事もあってか、フランスでは仏語で上演される事が多いようですが、今回は独語の原語上演と言う事で、フランス人の同僚達は、歌詞がこんがらがってちょっと大変みたいです(^^;
また、ストーリーが大晦日の夜の舞踏会が軸になっている事から、通例どこの歌劇場でも年末年始に上演される事が多いですが、リヨンの場合も今月17日に初日を迎え年明けの1月1日まで、全9回公演です。

パリは寒かった!

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パリ・シャンゼリゼ通り日曜日にパリに行って来ましたが、到着時には雪、その後、冷たい雨に変わり、物凄く寒かったです(@@;
この写真は午後のリハーサルの後、シャンゼリゼ通りで撮った物。画面の一番奥に見えるのが凱旋門です。
携帯電話のカメラで撮った所為もあるかもしれませんが、ちょっぴりピンボケなのは構えた手が雨に打たれて冷たかったから...かも(^^;

エッフェル塔こちらはエッフェル塔。
公演が行われたシャンゼリゼ劇場を出てすぐの交差点から撮りました。

モンテーニュ通りシャンゼリゼ劇場があるモンテーニュ通りのイルミネーション。

リヨン国立歌劇場管25周年

今週20日の土曜日は、リヨン国立歌劇場管弦楽団創立25周年&大野和士氏の首席指揮者就任記念のコンサートが、20時半からオペラ座であります(オペラ座の関連記事参照)。
演奏プログラムは次の3曲です。

  • バーンスタイン:「チチェスター詩篇」
  • ストラヴィンスキー:「詩篇交響曲」
  • ファリャ:バレエ音楽「三角帽子」

バーンスタインの曲はヘブライ語なんですよ。ヘブライ語の曲を歌うのなんて僕は約20年振り、シェーンベルクの「ワルシャワの生き残り」以来です。
今回「チチェスター詩篇」ではソロも歌いますが、大野さんとのリハーサルは木曜日からです。また、今回は日本のテレビ局(どこの局かな?)のルポルタージュもあるらしいので、もしかしたら僕もちょっとくらい映っちゃうかな~(^^;

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