昨夜はリヨンから南へ車で1時間ほどの町でコンサートがあったので、午後から出掛けておりました。急病で降板となったテノール氏の代役を急遽務めたわけですが、依頼を受けたのが木曜日の朝で、その日、午後のオペラ座のリハーサル後に指揮者と打ち合わせをしただけの殆どブッツケ本番(!)でした。幸い、何度も歌った事のある曲だったので特に支障はありませんでしたが、ここ2~3日余り急に冷え込んできているので、体調管理が大変だと痛感せずにはいられません。
さて、今夜はショスタコーヴィチの喜歌劇「モスクワ、チェリョームシュキ」のG.P.です。これは5年前のプロダクションの再演なので僕は前回と同様タクシー・ドライバー役を演じますが、指揮者をはじめ殆どの主役が前回とは違うので、再演とは言え稽古期間もそれなりに長かったです(^^;
明後日の15日が初日で31日まで全9回公演。今回は France Musique によるラジオの収録の他、DVD化も予定されており、クリスマス後の29日の公演は "ARTE Live Web" によりインターネットでライブ中継される事にもなっています。
仕事の最近のブログ記事
ショスタコーヴィチ:「モスクワ、チェリョームシュキ」
いつ一緒に遊ぶニャ?!
週末から週明けにかけて多忙を極めておりました。オペラ座の仕事はもとより、その他に2つの異なるレパートリー(ほぼ両極端)のコンサートの本番があったので、そのためのリハーサルも含めると目が回るような思いでした(@@;
幸いオペラ座の方は、昨日からリハーサルが午後と夜のシフトに移ったので、午前中に溜まっていた雑用をこなせるので助かります。朝から夕方まで拘束されてしまうと、買い物にすら行けませんからね(笑)。でも反面、マーシャには「いつ一緒に遊ぶニャ?!」と抗議されそうです...(^^;

「ポリフォニーと室内楽の名人」
明日15日は、リヨン近郊、ロワール県のポミエと言う小さな町で開催されるアンサンブルのフェスティヴァルでコンサートがあります。
2009年はハイドンの没後二百年と、メンデルスゾーンの生誕二百年にあたる年と言う事で、このフェスティヴァルも「ポリフォニーと室内楽の名人」と題して、ハイドンとメンデルスゾーンの曲が中心に演奏されます。
今回はダブル・クワルテットの男声アンサンブルのメンバーとして参加。僕達のアンサンブルは約1時間半のプログラム中、メンデルスゾーンの曲を幾つか選びました。その中の1曲、モテット「晩課の歌 作品121」(全5曲)は、主催者側からのリクエストによるものです。
このところ連日暑い日が続いていますが、明日は日中の最高気温が35℃と、更に暑さが厳しくなると言う予報です。開演は17時ですが、きっとまだまだ暑いでしょうね...(^^;
ロッシーニ:「小荘厳ミサ曲」
来月2日にロッシーニの「小荘厳ミサ曲」のソロを歌います。場所はリヨン5区にある Salle Molière で、20時開演です。
今回は、シーズン途中で突然助成を打ち切られる等の理由から資金難に陥り解散の危機にある、このコンサートの主催団体を救う為のものなので、全員無償参加。と言う訳で、個々の負担がちょっとでもなくなる様にと言う指揮者の意向で、4声のソロ・パートも複数人で分担になります。
尤も、この曲はスコアにも書かれている様にソリストも合唱部分を歌う事になっているし、フランスでは何故かこのソロを分担して演奏される事がよくあるので、特に珍しい事じゃないんですけどね(笑)。
この曲は昔、90年代後半にメゾ・ソプラノのルチア・ヴァレンティーニ=テッラーニとサン・レモで歌うと言うチャンスがありました。ところが、彼女が急性骨髄性白血病で倒れ、化学治療・移植手術の甲斐なく98年に亡くなってしまい、実現には至りませんでした。あの時はとてもショックを受けた事を覚えています。
オペラ座の方は、「椿姫」の初日が日曜日に明け、来月7日まで9回公演。コンサートの方も今週初めからリハーサルが始まり、また少し忙しくなりました。夏休みまであともう少し!最後まで気持ちを引き締めて頑張らないとね(^^)
オペラ・バスティーユ
昨日、「いやいやながらの王様」の4回目の公演が終わり、明晩の最終公演を残すのみとなりました。
これまでの流れから行けば、今日はオフと言いたいところなんですけど、今日は一日、オペラ・バスティーユのリハーサル室を借りて、リヨン・オペラ座の次公演、「ヴェニスに死す」の音楽稽古がありました。なので、パリ滞在中の恒例となりつつあった美術館巡りは、今日はお休み。お昼休みにお寿司を食べに行っただけです(笑)。
オペラ・バスティーユは、フランス革命二百周年を記念して、フランス政府が国の威信を掛けて建設した国家的スケールの大建造物。大ホールの客席数も2703席と、兎に角、でかい! 今朝はいきなり、乗るべきエレベーターを間違えてしまい、危うく迷子になってしまうところでした(^^;
この写真は殆ど真下から撮ったものですが、全体を撮ろうと思ったらかなり後ろ(バスティーユ広場の向こう側?)まで下がらないと無理でしょうね。
パリ、オペラ・コミーク座
パリ、オペラ・コミーク座は1714年の開場のフランスでも最も古い劇場の1つです。これまでに2度火災に遭っていますが、現在の劇場は1893~1898年に再建されたものです。
通称「サル・ファヴァール」 "Salle Favart" と呼ばれる大ホールは、客席数は1255とリヨンのオペラ座と比べると155席多いですが、舞台袖や奥行きに余りゆとりがな為、例えばリヨンでは舞台装置だった舞台奥の壁は、劇場の本物の壁がそのまま使われるなど、様々な変更が加えられています。
僕がこの劇場に初めて来たのは今から13年程前の事で、パリ・オペラ座のジャニーヌ・ライスのマスター・クラス受講のオーディションの為でした。パリには他にも沢山の劇場やコンサート・ホールがありますが、歌のオーディションはここオペラ・コミーク座が使われる事が多いそうです。その理由がどうしてなのか僕は知りませんけどね。
そして、今回公演のシャブリエの歌劇「いやいやながらの王様」は、実はこの劇場で初演されたんです。120年の月日を経て生まれ故郷に帰るなんて、何だかとても不思議な感じがします。
「賭博者」TV生中継?
一旦は中止と思ったテレビ収録ですが、今日のル・モンド紙WEB版のテレビ欄を見たら、今夜20時半から「Le Joueur」(仏語で「賭博者」)と書いてあったのでちょっと驚いています(写真をクリックで拡大表示します)。しかも放送局は音楽専門チャンネルの "Mezzo" です。念の為、他の新聞やテレビガイド等も見てみたんですけど、やっぱり同じ事が書いてありました。
公演が始まるのが20時ですから放送は30分遅れですが、放送終了時間から逆算すると、幕間の休憩時間(30分)を見越しての時間差の放送開始。つまり、休憩後の第3幕からは生中継と言う事じゃないですか!?
ところがです。Mezzo のサイトでは今夜は「戦争と平和」になっています。何れもプロコフィエフのオペラですけど、一体どっちが最新の情報なんでしょう???
※23時57分:追記
つい今しがた帰宅したところですが、やっぱりテレビの中継はありませんでした。いくらなんでもカメリハもなしでぶっつけ本番はないだろうと思ったんですけどね(笑)。でも何はともあれ、無事に全公演が終わってホッとしました(^^)
「賭博者」ラジオ収録
「賭博者」の公演も今夜を入れてあと2回を残すのみとなりましたが、今夜と最終日は、France Musique によるラジオの収録があります。
因みに、当初から予定していたNHKとARTEの共同によるテレビの収録とDVD化は、中止となってしまいました。
この「賭博者」は1917年に曲が完成したにも拘らず、ロシアの二月革命、十月革命等の影響で1929年にブリュッセル・モネ王立劇場で初演されるまで日の目を見る事がなかった作品です。他の作品に比べてその後も今日まで上演される機会が極めて少ないですが、今回のリヨン・オペラ座の公演以外に、この1年余りの間にメトロポリタン歌劇場、ベルリン国立歌劇場、ミラノ・スカラ座(ベルリンと共催)と言った世界の主要歌劇場で上演されると言う偶然が重なりました。また、リヨンでもアレクセイ役を歌っているミーシャ・ディディクとポリーナ役を歌っているクリスティーナ・オポライスが出演した、チェルニアコフ演出、バレンボイム指揮のベルリン国立歌劇場での公演がDVD化されると言う噂を耳にしますが、こんな事が今回のテレビ収録中止と関係あるのでしょうか。一音楽家と言う立場から考えたら、色んなバージョンがあった方が、聴き比べ、見比べる事が出来てとても参考になるんですけど、ちょっと残念に思います。
ドヴォルザーク:「スターバト・マーテル」
昨夜はドヴォルザークの「スターバト・マーテル」の本番がありましたが、今回はテノール・ソロのカヴァーを務めました。
予定していたソリストが不調と言う事で依頼を受けたのが火曜日の夕方で、水曜日の朝のリハーサルから参加。カヴァーは表舞台には姿を出さない要員で、リハーサルが滞りなく遂行される事と、万が一の場合には代わりに本番を務めなければならないので、本役よりも体調とか気にしちゃって結構大変なんですよ。勿論、本番も歌えば報酬もそれなりに...なんですけど、それはまた別問題です(笑)。
この「スターバト・マーテル」は、1875年9月に長女を失ったドヴォルザークが翌年2~5月に作曲したピアノ伴奏によるもので、多くの文献ではオーケストレーションの前の「スケッチ」と書かれていますが、その後1877年に相次いで更に2人の子供を失った際に完成に至った、今日通常演奏されるオーケストラ版とは部分的に異なる為、「1876年版」(または「オリジナル版」)と言う風に区別されます。
当時の彼は既に音楽家として成功を収め、仕上げなけらばならない曲が他にも沢山あり多忙だった事は明らかですが、この1876年版は曲数が7曲とオケ版に比べて3曲少なく、終曲の後半部分(アーメン)は途中で書くのを止めてしまったのではないかと言う印象すら受けます。その辺が「スケッチ」と言われる所以かもしれませんが、実際には子供を失った悲しみが再びこみ上げてきて上手く書けなかったのではないかと言う気がしなくもありません。
この1876年版の楽譜(写真)は、ベーレンライター社プラハ支店からのレンタルのみです。基本的にコピー譜を使用しての演奏は例外を除いて著作権等の理由で禁止されているので、演奏の度にレンタルする事になります。オケ版の方は多社から出版されているので用意するのも楽なんですけどね。
「賭博者」初日
今日はいよいよプロコフィエフの歌劇「賭博者」の初日。あと1時間ちょっとで幕開きで~す!
ところで、この作品の日本語タイトルですけど、巷では「賭博師」と書いてある場合もありますが、ドストエフスキーの原作を日本語訳されている原卓也氏に敬意を表して、また、ショスタコーヴィチの未完の歌劇「賭博師」と区別するためにも、僕は「賭博者」とずっと書いています(^^)
「賭博者」KHP
今夜は「賭博者」のKHPです。
KHPは独語で「ピアノ伴奏による総稽古」 "Klavier Hauptprobe" の略で、仏語では "Piano-générale" と言います。尤も、KHPとかGPと言う風に略すのは日本だけの事で、他所では通じませんけどね(^^;
昨日まで幕・場毎に細切れに行なってきた作品を全部繋ぎ合わせて、本番さながらにメイク&衣装付きで全幕を通して行うわけですが、オーケストラが入る前の「総まとめ」とでも言ったら良いでしょうか。これまでのリハーサルでは判らなかった舞台転換、衣装替え、出入り等のタイミングも明らかになるので、全体の流れを知る上で非常に大事なリハーサルです。
いつもはここで想像も付かなかった、あるいは予想通りのハプニングが起こるんですけど、さて、今夜はどうなるでしょう...。
「賭博者」衣装合わせ
今日は午前と午後のリハーサルの合間に、次の公演演目であるプロコフィエフの歌劇「賭博者」の衣装合わせがありました。
僕が今回歌うのは、第4幕のカジノの場面に登場する第2のクルピエ役です。クルピエ Croupier はカジノ用語でルーレットの親を意味する仏語ですが、平たく言うとカジノの従業員ですね。また、日本語に訳すと「胴元」と辞書には載っていますが、それだと僕はどうしても時代劇や任侠映画に出て来そうな別の姿を思い浮かべてしまいます(^^;
写真は衣装に合わせて用意された様々な色・スタイルの靴です。実際には昨日まで公演があった「こうもり」の衣装を(一部を除いて)殆どそのまま使うと言うの事が分かったので、今日は何しに言ったのかイマイチ分かりません。もしかしてクリスマスから年末年始にかけて、体型に変化がないかチェックするためだったのとか...(笑)。
シュトラウス:喜歌劇「こうもり」
リヨン・オペラ座の次の公演は、シュトラウスの喜歌劇「こうもり」です。
今回僕が歌うのは、第2幕にオルロフスキー公爵邸で催される舞踏会の招待客の一人で、ラムジンと言う役です。この役は、1874年の初演以来「ロシア大使館員」と言う設定だったのが、現在一般に使わるようになったウィーンのシュトラウス・エディションによる1999年の改訂版(今回リヨンでも使用)では、「日本大使館員」に変更されています!何故???
この改訂版は、ドイツのシュヴェリン歌劇場で1896年に上演以来保存されていたシュトラウス自身の手書きによる総譜と、シュトラウス個人蔵の総譜を基に1906年頃にドイツのクランツ社から出版されたを総譜(現在はウィーン・フィルの歴史資料館所蔵)によって編纂されているそうです。
この作品は、原作がメイヤックとアレヴィによる戯曲「大晦日の夜の大騒ぎ」 "Le réveillon" による事もあってか、フランスでは仏語で上演される事が多いようですが、今回は独語の原語上演と言う事で、フランス人の同僚達は、歌詞がこんがらがってちょっと大変みたいです(^^;
また、ストーリーが大晦日の夜の舞踏会が軸になっている事から、通例どこの歌劇場でも年末年始に上演される事が多いですが、リヨンの場合も今月17日に初日を迎え年明けの1月1日まで、全9回公演です。
パリは寒かった!
日曜日にパリに行って来ましたが、到着時には雪、その後、冷たい雨に変わり、物凄く寒かったです(@@;
この写真は午後のリハーサルの後、シャンゼリゼ通りで撮った物。画面の一番奥に見えるのが凱旋門です。
携帯電話のカメラで撮った所為もあるかもしれませんが、ちょっぴりピンボケなのは構えた手が雨に打たれて冷たかったから...かも(^^;
こちらはエッフェル塔。
公演が行われたシャンゼリゼ劇場を出てすぐの交差点から撮りました。
シャンゼリゼ劇場があるモンテーニュ通りのイルミネーション。
リヨン国立歌劇場管25周年
今週20日の土曜日は、リヨン国立歌劇場管弦楽団創立25周年&大野和士氏の首席指揮者就任記念のコンサートが、20時半からオペラ座であります(オペラ座の関連記事参照)。
演奏プログラムは次の3曲です。
- バーンスタイン:「チチェスター詩篇」
- ストラヴィンスキー:「詩篇交響曲」
- ファリャ:バレエ音楽「三角帽子」
バーンスタインの曲はヘブライ語なんですよ。ヘブライ語の曲を歌うのなんて僕は約20年振り、シェーンベルクの「ワルシャワの生き残り」以来です。
今回「チチェスター詩篇」ではソロも歌いますが、大野さんとのリハーサルは木曜日からです。また、今回は日本のテレビ局(どこの局かな?)のルポルタージュもあるらしいので、もしかしたら僕もちょっとくらい映っちゃうかな~(^^;
